アンコール マリアージュ
「うわ、なんだか凄いですね」

数日後、打ち合わせの為来店した、園田様・上村様は、驚いた様子でサロンを見渡す。

「こんなに混んでるなんて…。あ、美佳さんも別の接客中なんですね」

お二人が驚くのも無理はない。

あのテレビ放送以降、フェリシア 横浜は連日挙式と打ち合わせに追われ、普段はゆったり使えるサロンも常に満席状態。

今日はさらに、予備のテーブルと椅子まで使っていた。

真菜のサポート役だった美佳も、忙しさのあまり半強制的に独り立ちさせられてしまった。

「もしかして、テレビの影響ですか?」

そっと聞いてくる新郎に、真菜は苦笑いで頷く。

「凄いですねー、テレビって。でもあの放送、俺らも見たけど、とっても良かったですよ。な?亜希」
「ええ。私、感動しちゃって…思わずもらい泣きしちゃいました。だって、真菜さんもポロポロ泣いてらっしゃるんだもん」

お恥ずかしい…と、真菜はうつむく。

「ううん、本当に素敵でしたよ。私達も、ここで挙式するのが本当に楽しみになって。あ、そうそう!あのリングボーイやってた男の子が可愛くて!うちの姪っ子も、リングガール出来ますか?4才なんですけど」
「あ、はい!大丈夫ですよ。お名前は?」

真菜は、ようやく打ち合わせに集中し始めた。
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