アンコール マリアージュ
 その時、ノックの音がして、ドアを開けた真菜は拓真を中へ促す。

 拓真はお二人に、おめでとうございますと言って自己紹介をしてから、早速撮影を始めた。

 「今日はブーケセレモニーなので」
 「ブーケの写真はあとね」
 「さっすが拓真くん」

 小声でやり取りしてから、真菜はお二人に、挙式の流れを説明する。

 ガーデンでリハーサルも出来るが、列席者に見られる可能性もあると伝えると、ここで練習してみるから、リハーサルはしなくて大丈夫とお二人は笑う。

 真菜は、新婦にブートニアを見せた。

 「これをブーケの中に入れてからお渡ししますね。新婦様はこのブートニアを抜いて、新郎様の胸のポケットにクリップで留めて下さい。こうやって、縦に…そうです、そんな感じでお願いします」

 その時、インカムから再び梓の声がした。

 「ガーデン、梓です。ご列席の皆様、ほぼ着席完了。牧師様も到着されました」
 「控え室、真菜、了解です。すぐにそちらに向います」

 真菜は、花束を抱えた有紗と一緒に控え室を出る。
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