これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
なんともズルい人なんだろうと、そのとき私は思ったけれど。
いま“ズルい”と思えなかったのは、やっぱり三好くんには寂しさの裏に確かな優しさが見えるから。
「み、三好くん、その衣装は買ったの…?」
「まさか。クラスメイトに趣味でコスプレイヤーしてる奴がいて、借りた」
「でもすごくか………、似合ってる、よ」
「か?」
「え…」
「“か”って言ってた。なに?」
怪我などしていなかった三好くんの隣、私も小さく腰かける。
すると距離を詰められて、わざとらしく聞いてきた。
「っ、気のせい、で…、聞き間違いとか、」
「ここには俺たちしか居ないってのに何と間違えんの」
「その、それはっ」
どうしようどうしよう。
追い詰められてる…、
逃げても逃げても四方八方行き止まり。
「あ。」
けれど、その行き止まりに逃げ道を作ってくれたのもまた、三好くんだった。
「髪の毛、いつもとちがう」
「あっ…、友達に…やってもらって」
「…いいね。ぴょんってしてて」