乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
なぜか…おっさんのように、イケメンに変身している女の背中を指でなぞった後、加奈子はベッドから、出た。

「今夜のことは、忘れない」

女にウィンクすると、携帯で時間を確認した。

「おっと!もうこんな時間か。素敵な時は、すぐ過ぎてしまう」

加奈子は制服を着だした。

そして、鞄を掴むと、まだベッドの上にいる女にウィンクし、

「先にいくね」

部屋を出る前に、加奈子はあるものを女に示した。

「このプレゼント…君だと思って、大切にするよ」

それは、眼鏡ケースだった。

そして、部屋を出る前に、加奈子は言った。

「おっと!おいらのことは、忘れてくれ…。世界中の男が、おいらを待ってるんでね。この体は、君1人のものじゃないんだ」

加奈子は投げキッスをすると、部屋を出た。




女は唖然としながらも、加奈子が出たのを確認すると、

「何とか…ケースを渡せたわ」

一気に疲れを感じた。


それに、大切な何かを失った。

全身男のようにしていたけど…

女にあれはついていない。

身に纏っていた皮を身に脱ぐと…皮はえらいことになっていた。

「あの女…」

えらそうに帰っていったけど…

「絶対…男を知らない」






ラブホを出た加奈子は、眼鏡ケースを握り締めながら、ガッツポーズを決めた。

「念願の男GET!」


そう喜びが、偽りであることを…加奈子が知るのは、先の話である。

今はただ…どどめ色に輝く眼鏡ケースが、朝日に照らされ、さらに輝いていた。
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