乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「なぜ、わたし達をほったらかしにした!」

放課後、屋上にあたしを呼び出した半月ソルジャーは疲れ果てた顔で、睨み付けた。

どうやら、他の生徒に見つかったみたいで、夕方まで逃げ回っていたらしい。


激しく息を荒げながら、詰め寄る半月ソルジャーを、あたしは腕を組み、眉をよせながら見つめた。

「学校にずっといるからでしょ?放課後まで、離れたらいいじゃない」

あたしの言葉に、半月ソルジャーは言い返した。

「お前達、乙女ソルジャーは、月がなければ、力を発揮できない。だから、わたしが、それまで警備しなければならない」

「はあ〜?」

あたしは顔をしかめ、

「あんた…知らないの?」

「な、何をだ」

あたしの不審そうな顔に、半月ソルジャーはたじろいだ。

あたしは、半月ソルジャーをじっと見つめ、

「別に、月が出てなくても、変身できるんでしょ…本当は」

疑いの目を向けるあたしに、半月ソルジャーは目を見開き、

「な」

本気で驚いてるみたいだった。

「そんなば、馬鹿な…」



「この男は、すべてを知らないわ」

唖然としている半月とあたしの前に、出入口の上から九鬼が降り立った。


「誰だ!」

半月は、突然現れた九鬼に思い切り怯んだ。

そんな半月を一瞥すると、九鬼は黒縁眼鏡を、あたしに示した。

「え」

半月は眼鏡を見て、大袈裟に体を仰け反らした。


九鬼は、あたしに説明した。

「この眼鏡は、夜月明かりを当てておくと、ムーンエナジーを貯めることができるの。でも、3分くらいしか変身できないけど…」

そういうと、九鬼は苦笑した。


「なぜ…お前が、そんなことを知っている!」

気を取り直した半月は、九鬼に食って掛かった。

「フッ」

九鬼は、眼鏡をケースにしまうと、

「研究したのさ。この学園を守る為には、自らの力を知らなければならない。己を知らねば、誰とも戦えないからな」

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