乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「だから…あたしは、乙女ソルジャーの能力を研究した」

九鬼は拳を、半月ソルジャーに突きだすと、

「乙女ソルジャーについては、ある程度は理解した!だけど、わからないことがある」

「な!」

半月を見つめる九鬼の目の強さに、思わず後ろに下がった。

「なぜ!この学園に、やつらは現れる?乙女ソルジャーがいるからでは、説明がつかない!やつらは、何を探している!それも、夕方から!それは何故だ?」

「え…」

「乙女ソルジャーが、月の力で変身できるのと関係あるのではないのか?」

九鬼の問いに、半月は何も言えない。ただ焦るだけだ。

そんな半月に、九鬼は目を細めると、

「やはり…お前は知らないか…。ならば」

九鬼は後ろを振り返った。

口元を緩めると、

「貴様にきこうか?」


「え?」

あたしも、顔を向けた。

「イハンダー!」

九鬼は、そのまま眼鏡ケースを取り出した。

いつのまにか、屋上の端にイハンダーが立っていた。

その全身は、傷だらけであり、明らかに昼間とは違った。

「ま、魔神…!?」

イハンダーを見た半月はその場で震えだし、いつものように逃げることもできない。

「いくわよ!レッド!」

九鬼は、眼鏡ケースを突きだした。

「え!あ…う、うん」

あたしもつられ、慌てて眼鏡ケースを取り出した。




「変身!」

あたしと九鬼は声を揃え、変身した。



「月夜の刃!乙女ブラック!」

「ええって…は、恥じらいの…お、乙女レッド!」


赤と黒の戦士が、屋上に降臨した。



「乙女ソルジャー…」

イハンダーの一つ目が、夕焼けの最後の輝きを受けて、光った。

「昼間の失態を…貴様らの死をもって償う!」

イハンダーの体が変わる。

左腕の銃がマシンガンに代わり、右腕が剣そのものに変わった。

そして、銃口を向けると、乱射した。
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