乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「!?」

屋上から階段をかけ下りる九鬼の目に、踊り場に立つ金髪の女子生徒の姿が飛び込んできた。

「九鬼真弓!いや、乙女ブラック!」

女子生徒は、猛スピードで階段をかけ上がる。

「死ね!」

その手には、日本刀が。

「装着!」

九鬼は足を止めずに、乙女ケースを突き出した。

しかし、乙女ケースが開かない。

「!」
「フン!」

驚いている暇は、なかった。瞬きの間に、女子生徒の日本刀は、九鬼の首筋に、突き刺さろうとしていた。

咄嗟に、乙女ケースの表面で切っ先を受け止めた。

その瞬間、乙女ケースから目映い光が放たれた。

「くっ!」

女子生徒は思わず、顔をしかめながらも、後ろを向いた。

「おのれ!」

そして、日本刀を立てにすると、

「チェンジ!イハン」

叫ぼうとしたが、刀を下ろした。

「逃げたか。フン!」

鼻を鳴らすと、日本刀を鞘に戻した。






「馬鹿な…」

階段から離れた場所で、眼鏡を取り、変身を解いた九鬼は、乙女ケースを握り締めた。

そして、目の前にある扉を開いた。

そこは、普段生徒が来ない…地下階。ほぼ倉庫になっているが、奥に部屋があった。

「やあ〜久しぶりだな。こんなところに」

扉の向こうに、白衣を着た…モジャモジャ頭の男が立っていた。

「いや、もう…来る頃だと思っていたよ」

モジャモジャ頭の男は、九鬼に微笑みかけた。

「兜博士」

九鬼は、部屋の中に入った。 乙女ケースを握り締めながら。

「もう駄目になる…じゃないな。よくもった方だ。そいつは、数千年前の骨董品だ」

兜博士は、九鬼の手にある乙女ケースを見つめた。

「ついに、壊れたか」






第8話 突然の再会 完。
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