カラダダケの関係に依存していた私の話
この頃の私は、ふと蘇る家族との思い出に浸ることが多々あった。


頻繁に思い出していたのは風邪をひいた時のこと。


喘息持ちで体が弱かった私と姉は、幼少期に体調を崩しては寝込んでいることが多かった。


そんな時に両親は、私たちがいつ起きていつご飯を食べていつ病院に行ってもいいように、交代で一日中ずっと起きていてくれるのだ。


それを体調が戻るまで何日でも続けてくれた。


そんな家族の優しさを思い出す度に、実家に戻りたくなった。


ただその気持ちを上回るほどに、父に苦しめられていた頃の私に戻りたくなかった。


実際、実家を出てから私の心のうちは、その面で晴れやかだったのだから。





寂しい。


この気持ちをかき消すためにはどうしたらいいのだろうか。


きっと何かに集中していれば大丈夫なはずだ。
趣味でもつくろう。


やりかけのジグソーパズルでも再開してみようか。


本棚に所狭しと並んでいる漫画でも読み返してみようか。


そう考えてみれば暇を潰すことは容易である。


それなのに、何か物足りなさが残り続けていた。


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