再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
揺れる心
「はいどうぞ」
大きめのマグカップに入ったカフェオレを渡された。温かそうに湯気がたちのぼり、ほっとさらられたのも束の間、カップに目を奪われてしまった。
私の手元には可愛らしいピンク色、彼は同じカップの色違いで青を手にしていた。
明らかにペアカップだ。
男性の一人暮らしでピンクのマグカップを家に置いてあるものだろうか。いや、そんな訳がない。彼女のものか、元カノのものか。
女性ものに見えるそのカップを私が使っていいものなのだろうか。そもそもこのカップを私に出してくる彼の考えがわからない。
少し嫌悪感を感じてしまい凝視していると、「まだ熱いかな?」と言う言葉が聞こえてきてハッとした。
「あ、いえ。いただきます」
彼に気を使わせてしまったかと、カップは気にしないことにして勢いよく口にしてしまった。
「あつっっ……」
「え? 大丈夫か? 見せてみろ」
向かいの席に座っていた彼は立ち上がり、テーブルを回り込むと近づいてきた。
「だ、大丈夫です」
「いや、ちょっと口を開けてみて」
彼にみられるのは恥ずかしいし、何よりさっきまでみんなとお酒や鍋を食べていた。口臭も心配になってきて絶対に見せたくないと私は口をつぐんだ。
「ほら、火傷してるんじゃないか?」
私は口をつぐんだまま顔を横に振る。
「痛くないのか?」
私は顔を縦に振る。
彼は呆れたような顔をしていたが頑なに私が口の中を見せないので諦めたようだ。
キッチンで冷たい水を汲んでくると私に手渡した。
「ほら、じゃあこれを飲んで」
彼がまた自分の席に座るのを見届けると、私は口を開き、もらった水を口にした。
「ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと彼は頷いていた。
「ごめん、熱すぎたな。気をつけて」
私はまた頷いた。
ピンクのマグカップを見て、なんだか少しギクシャクしてしまったが、彼の優しさに先ほど感じた胸の奥のつかえが少し和らいだ。
大きめのマグカップに入ったカフェオレを渡された。温かそうに湯気がたちのぼり、ほっとさらられたのも束の間、カップに目を奪われてしまった。
私の手元には可愛らしいピンク色、彼は同じカップの色違いで青を手にしていた。
明らかにペアカップだ。
男性の一人暮らしでピンクのマグカップを家に置いてあるものだろうか。いや、そんな訳がない。彼女のものか、元カノのものか。
女性ものに見えるそのカップを私が使っていいものなのだろうか。そもそもこのカップを私に出してくる彼の考えがわからない。
少し嫌悪感を感じてしまい凝視していると、「まだ熱いかな?」と言う言葉が聞こえてきてハッとした。
「あ、いえ。いただきます」
彼に気を使わせてしまったかと、カップは気にしないことにして勢いよく口にしてしまった。
「あつっっ……」
「え? 大丈夫か? 見せてみろ」
向かいの席に座っていた彼は立ち上がり、テーブルを回り込むと近づいてきた。
「だ、大丈夫です」
「いや、ちょっと口を開けてみて」
彼にみられるのは恥ずかしいし、何よりさっきまでみんなとお酒や鍋を食べていた。口臭も心配になってきて絶対に見せたくないと私は口をつぐんだ。
「ほら、火傷してるんじゃないか?」
私は口をつぐんだまま顔を横に振る。
「痛くないのか?」
私は顔を縦に振る。
彼は呆れたような顔をしていたが頑なに私が口の中を見せないので諦めたようだ。
キッチンで冷たい水を汲んでくると私に手渡した。
「ほら、じゃあこれを飲んで」
彼がまた自分の席に座るのを見届けると、私は口を開き、もらった水を口にした。
「ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと彼は頷いていた。
「ごめん、熱すぎたな。気をつけて」
私はまた頷いた。
ピンクのマグカップを見て、なんだか少しギクシャクしてしまったが、彼の優しさに先ほど感じた胸の奥のつかえが少し和らいだ。