もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜
「嘘。葉菜、自覚したんでしょ、いぬのおまわりさんに対する自分の気持ち」
「えっ⁉︎なんで……っ」
ところがあっさりバレていたことに、面白いくらいに動揺してしまう。
「ふふっ、そりゃあ分かるよ、だって葉菜のことだもん。ついでに、〝失恋したばっかりなのに、もう他の人を好きになるなんて〟とか、グダグダ考えてるんだろうなってこともね」
「うっ……」
この親友はエスパーなのかもしれない……。
ズバリ言い当てられて視線を泳がせる私の頭をよしよしとふた撫でして、風香は続ける。
「葉菜は真面目だからなぁ。でもね、六年来の親友から言わせて貰えば、葉菜の心がそんな風に反応する人になんてそうそう出会えるものじゃないって知ってるからさ。時間なんて関係ないよ?ただ、今このタイミングでそういう人に出会っちゃったってだけで。だから葉菜にはその気持ち、誤魔化さずに大事にして欲しいと思う」
「風香……」
私の不安をかき消してくれるような親友の優しい言葉と笑顔が、じわじわと心に染みてくる。
実は、何度か私から勇気を出してメッセージを送ってみようと試みたこともあった。
だけど、たった一度お世話になっただけの私と犬飼さんの距離感で、こんな他愛のない内容を送るのもどうなんだろう、迷惑じゃないかな、などといろいろ考えてしまっては結局送信ボタンは押せないままだった。
でも、風香に背中を押して貰った今なら、送れる気がする。