もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜
なかなか会えないなぁとは思っていた。でも、シフト制の私と商社勤めで休日出勤も多かった彼とでは、そもそも休みが合わないのだから仕方のないことだと、特別変だとも思っていなかった。
だけど、たまに会える時には『葉菜の家は落ち着くから』と彼はいつも私の何の変哲もない1Kのアパートに来たがって、なのに私は彼の家には一度も行ったことがなかった。
今考えれば、最初から私が浮気相手で向こうが本命だったのだろう。
ひどい人だと思う。自分の見る目のなさにもがっかりした。一年半も気付かなかっただなんて。
でも、好きだった。初めての彼氏だった。
だからこそ彼との思い出が色濃く残る自宅に帰りたくなくて、私は今、こんな所で無駄に時間を潰している。
「── 葉菜先生?」
とは言えいつまでもここでこうしていたら凍死してしまう。そうは思うけれど帰りたくはない。
そんなジレンマと一人戦っていた時、不意に静寂を切り裂くような深い声に名前を呼ばれ、ビクッと肩が跳ねた。
「こんな時間に、こんな所でどうしたんですか?女性が一人で、危ないです」
近づいてくるその声に顔を上げてみれば、そこにはフード付きのショートダウンに身を包み、コンビニの袋らしきものをぶら下げた犬飼さんがいた。
だけど、たまに会える時には『葉菜の家は落ち着くから』と彼はいつも私の何の変哲もない1Kのアパートに来たがって、なのに私は彼の家には一度も行ったことがなかった。
今考えれば、最初から私が浮気相手で向こうが本命だったのだろう。
ひどい人だと思う。自分の見る目のなさにもがっかりした。一年半も気付かなかっただなんて。
でも、好きだった。初めての彼氏だった。
だからこそ彼との思い出が色濃く残る自宅に帰りたくなくて、私は今、こんな所で無駄に時間を潰している。
「── 葉菜先生?」
とは言えいつまでもここでこうしていたら凍死してしまう。そうは思うけれど帰りたくはない。
そんなジレンマと一人戦っていた時、不意に静寂を切り裂くような深い声に名前を呼ばれ、ビクッと肩が跳ねた。
「こんな時間に、こんな所でどうしたんですか?女性が一人で、危ないです」
近づいてくるその声に顔を上げてみれば、そこにはフード付きのショートダウンに身を包み、コンビニの袋らしきものをぶら下げた犬飼さんがいた。