敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
自分の将来をまっすぐ見据えた彼女の澄んだ瞳に、大きく心が揺さぶられた瞬間だった。
城後都市開発の後継者として教育されてきた俺だが、本当は外交官になるのが夢だ。
英語はもちろんのこと、母国語としての話者数は中国語についで世界第二位の重要な言語であるスペイン語を学び、外務省専門職員の試験対策も粛々と進めている。
しかし、俺に期待する両親の気持ちや、俺が後継者にならなければ今度は弟がその役割を強いられるかもしれないということを考え、いまだにその夢について家族に言い出せていなかった。
まだ高校生の彼女でさえ、こんなにしっかりした信念を持ち、自分の手で人生を決めようとしているのに……。
彼女に感化されたのか、気が付いたら俺も正直に自分の夢を打ち明けていた。
「父は城後都市開発を継げと言うけど、本当は外交官になりたいんだ。俺ひとりにできることは限られているが、だからこそ日本の中枢組織の一員になって、国家間の橋渡しに携わる仕事がしたい。少しでも多くの人が、安心して暮らせる世界になるように」
理想論だと馬鹿にされるのが嫌で、大学の友人にも話したことのなかった本音。それが美来の前では不思議と躊躇わずに口にできた。彼女なら、背中を押してくれる気がした。