敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「だったら、諦めないでお父様に訴えるべきよ」
まるで自分のことのように真剣な目をして、美来が言った。
今日初めて会っただけの年下の女の子に励まされるなんて、カッコ悪いことこの上ない。しかし、胸の中でくすぶっていた外交官になるという夢が、息を吹き返したように輝きだしたのも確かだ。
「いつか絶対、外交官になってみせて。叶多くんの掲げる理想は、世界中の多くの人の願いだと思うから」
彼女の放つ言葉の一つひとつが俺の中で勇気へと変わり、家族ともきちんと向き合って話し合う決意をする。
こんな気持ちにさせてくれた彼女に、なんとお礼を言えばいいだろう。
考えている途中で足音が近づいてきて、振り向いたら険しい顔をした父が立っていた。
「……彼女と話すのはやめなさい。八束は裏切り者だ」
「えっ? なにを言って……」
困惑しながら美来に視線を戻すと、彼女もまた父親になにか耳打ちされ、怪訝そうに俺を見た。
互いの父親が離れていくと、美来が悲しい目をして言う。
「もう叶多くんには近づくなって……どうして?」