敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 父に認められていたのが意外で、少々気恥ずかしい。父も同じように思っているから、俺の前では態度に表さないのかもしれない。

《それって逆に、俺が器の小っちゃい男って言われてるみたいじゃん? だから、そのコンプレックスを跳ねのけるために死に物狂いで仕事して、ようやく形になりそうなんだ。スペインにもう一度ホテルを開業する計画。もちろん八束グループと共同でね。だからこんな時間まで仕事をしていたんだ》

 拗ねたそぶりを見せたのは一瞬で、隆多は力強くそう言った。

 やっぱりお前は優秀だな弟だ。兄として素直に感心するし、誇らしく思う。

「ちなみにそれ、父さんも知ってるのか?」
《ああ。本心では八束社長と和解したいんだと思うよ。今回の計画は俺に全部任せるって言ってくれた》

 八束社長はともかく、父に和解の意思があるとわかっただけでもホッとした。しかし、その前に明らかにしておくべきことがある。

「そうか。じゃあ俺は、こっちにいるうちにトーレス氏に会って話を聞いてくるよ。日系ホテルへの出店を取りやめた理由、その真相はなんなのか。それがわかれば、父たちの態度も和らぐだろう」

 世界的なシェフである彼は多忙に違いないが、交渉事は得意分野だ。

 どうにか時間を作ってもらい、八年前の真相を聞き出してみせる。

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