敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
《それが済めば、マンションに幽閉してる美来さんをやっと迎えに行けるね》

 真面目な話をしていたのに、隆多が急にひやかすような口調になる。

 幽閉だなんて人聞きが悪い。ホルヘといい隆多といい、俺をなんだと思っているんだ。

「幽閉じゃなくて保護、な」
《はいはい。マンションに用意する服のサイズに色、柄、種類まで、彼女に似合うよう事細かに指定して用意させたくらいだもんな。美来さんが兄貴のお姫様だってのは、よーくわかってる》
「ああ、その節は世話になった。帰国したら酒でも奢る」
《楽しみにしてるよ。じゃ、いい加減疲れたしそろそろ寝るわ。アディオ~ス》

 隆多は調子のよい声でそう言って、電話を切る。

 明るい弟のお陰で、パーティーで藤間と対峙していたときの苛立ちや緊張感も抜け、心に余裕が戻ってきた。

 まずはトーレス氏とアポイントを取り、八年前の真相を聞き出す。並行して父たちを引き合わせる準備し、帰国したら美来にも事情を話してその場に同席してもらう。

 そうすれば、すぐにでも結婚を認めさせることもできるだろう。

 美来と幸せになる未来がようやく手の届くところまで近づいてきた。

 あと、もう少しの辛抱だ……。

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