敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 平静を装いつつも、胸はざわめいていた。

 もしかしたら、俺が空港へ来ることを許可したから、美来が危険な目に遭っているのではないだろうか。

「どういうことですか?」
「紫陽花楼の若旦那のことはご存じですよね? 彼は紫陽花楼に美来様を連れて行き、乱暴するつもりなんです。お願いです、信じてください。私は……美来様だけでなく、彼のことも助けたいんです」

 涙ながらに訴えた京本さんの話に、嘘はないと判断する。

 それに、八束家にふたりいる家政婦はどちらも信頼できる人物だと、美来の口から聞いたこともある。

「わかりました。移動しながら、話の続きを聞きます」
「ありがとうございます……!」

 京本さんと連れ立って空港のターミナルを抜け、タクシー乗り場へ急ぐ。

 乗り場に待機していた一台に乗り込み行き先を告げると、走ったせいで少し息の上がった京本さんが、胸に手を当てながら状況を説明してくれた。

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