敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 迫りくる清十郎さんから逃れるように後ずさりしていたら、トン、と背中が壁にぶつかった。勇気を出して彼と目を合わせ、問いかける。

「私をどうするつもりですか?」
「どうって……言っただろう? 仕置きだ。俺という許嫁がありながらほかの男に子種を注がれるなんて裏切りをしておいて、ただで済むと思ったか?」

 狂気に満ちた目をして、清十郎さんが私の両手を壁に縫い付ける。

 ドクッと鼓動が嫌な音を立て、全身の肌が粟立った。

「やめてください……っ。今乱暴されたら、赤ちゃんまで……」
「知ったことか。どうせ俺が父親になるんだ、好きにさせろ」

 冷淡な声で言い放った彼はますます強い力で私を壁に押しつけ、顔を近づけてくる。

 いやいやと首を振り、必死で強引な口づけから逃れようとしていた、その刹那――。

「美来!」

 扉が勢いよく開く音と最愛の人の声がして、清十郎さんの動きが止まる。

 その隙に全力で抵抗して手首の拘束から逃れると、部屋の入り口に立つ叶多くんに駆け寄り、その胸に飛び込んだ。

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