敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「仕事も恋愛も好き勝手にして、あげく子どもを授かった? そんなの許せるわけがないだろう。彼女は……泉美は、仲居として働いていたときに俺の子を孕んだがゆえに紫陽花楼から追い出され、失意の中、子どもを流産してしまったと言うのに」
「えっ?」
泉美さんが、清十郎さんの子を……? 彼女はうちで働く前、紫陽花楼にいたの?
だとしたら、そんな悲しい経験があってもなお、彼女は悪阻に苦しんでいる私を助けてくれたことになる。
政略結婚とはいえ、愛する清十郎さんの結婚相手である私のことは憎んでもおかしくないのに……やっぱり、泉美さんはどこまでも優しい人だ。
胸に熱いものがこみ上げ、瞳が潤む。
隣にいる彼女は口元を手で覆い、両の目からぽろぽろと大粒の涙を流していた。
「……清」
付き合っていた頃の呼び方なのだろう。泉美さんがとても愛おしそうに彼をそう呼んで、彼のもとへ駆け寄る。