敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 清十郎さんの隣で泉美さん同じように床に膝と両手を突き、深々とお辞儀をする。

 彼らの話を聞いた後ではすでに責める気持ちなどないが、叶多くんの判断を仰ぎたくて彼に寄り添い、目で問いかける。

 叶多くんは少し考えるそぶりの後、ふたりの前にゆっくり跪いた。

「私が暴力を嫌っている話はさっきしましたが、それと同じくらい、憎しみの連鎖も悲しいことだと思っています。誰かを憎み傷つけ、今度は相手に報復される。その繰り返しでは、いつまでも争いはなくならない。だから、あなたの謝罪を受け入れます。……二度と美来を傷つけないと約束するならば、ですが」
「……はい。お約束します」
「美来も、それでいいか?」

 私を気遣う優しい視線に、首を縦にふる。

 叶多くんらしい結論に、異存なんてあるはずがない。

「ええ。もちろん」

 清十郎さんと泉美さんはふっと安堵の表情になり、もう一度揃って床に額をつける。

 泉美さんがそばにいれば、長年降り積もった負の感情でかたくなだった清十郎さんの心も、少しずつ溶けていくだろう。

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