敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「それはこっちのセリフだよ。ありがとう」
「……ダメだな。美来の笑顔、久しぶりすぎて我慢がきかない。外だけど抱きしめさせて」
言葉の途中ですでに私の背中に手を伸ばしていた彼が、私を強く抱きしめる。
広い胸に抱き留められていると、彼と会えない間ずっと欠けていた心の一部に、ようやく幸福が注がれていくのを感じた。
タクシーの匂いが苦手であると説明し駅まで歩く道すがら、叶多くんが思い出したように私の顔を覗いた。
「体調が悪いと言っていたのも妊娠の影響だったのか」
「うん。でも、だいぶよくなった。時々気分が悪くなるくらい」
「俺に心配をかけたくなくて黙っていたんだろう。なんでもひとりで抱えて解決しようとする悪い癖、治っていないな」
「そんな言い方しなくたって」
久々の再会なのに短所の話をされ、思わず口を尖らせる。叶多くんは私の機嫌を取るように指先でそっと頬に触れ、指先で軽くくすぐる。
「むくれた顔もかわいいな。というか、久しぶりだから全部かわいい」
「……じゃあ、毎日一緒にいたらそのうち飽きちゃうの?」
機嫌を損ねているのもあり、少し意地悪な質問をしてしまった。上目遣いで見つめた先の叶多くんが、少しムッとした顔をする。