敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
父の前では硬い表情をすることが多かった叶多くんが、目元をほころばせて微笑む。
私たちを見つめる母や叶多くんのご両親も一様にやわらかく微笑んでいて、隆多さんは拍手の仕草で私たちを祝福している。
両家のわだかまりがすっかり解け、感極まった私の目に涙が浮かぶ。それを指先でそっと拭って、父に改めて向き直った。
「お父さん、もうひとつ報告があるの」
「報告? なんだ」
「私、妊娠しています。今日でちょうど十二週になったところよ」
まだふくらみの目立たないお腹に手を添えて言うと、父がうろたえる。
「に、妊娠……?」
「本当なの? 美来」
母も思わずと言った感じに席を立ち歩み寄ってきて、私は頷いた。
「どうしてもっと早く教えてくれなかった……と言いたいところだが、美来の気持ちを我が家から遠ざけていたのは私たちの方だな。」
母の肩をそっと抱き寄せ、父がすまなそうに言った。母も頷き、後悔を含んだ眼差しで私を見つめる。