敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「ええ……。ごめんなさいね、美来。娘の一番の幸せがわからなかったこんな母親じゃ頼りないかもしれないけれど、あなたを産んだときの経験ならいくらでも話してあげられる。だから気が向いたらでいい。たまにはこの家に帰ってきてね」
「お母さん……うん。たくさん聞かせて、その話」
「もちろんよ」
きちんと話せばこうして気持ちは伝わるのに、忙しい両親より家政婦さん達ばかりに甘えていたから、私たち親子は少しコミュニケーションが足りなかったのかもしれない。
私もこれから親になるのだから、大先輩である自分の両親の話に、これからは積極的に耳を傾けたいと思う。
話がまとまったところで、いつの間に用意したのか、妙さんがサービスワゴンにたくさんの料理を乗せてキッチンから出てきた。
泉美さんも手伝ってダイニングに料理が並べられ、おめでたい日だからと父がシャンパンを開けた。
私は妊婦だから飲めないし、悪阻もまだ残っているのでそれほど食事はお腹に入らないけれど、家族が楽しそうにしている姿を見ているだけでも幸せだ。
そしてなにより、隣には叶多くんがいる。