敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「ここにも書いてあるじゃないか。『この作品は、いつも丁寧にクラシカルな日本語を使う城後さんの訳で、ぜひ子どもたちに読んでほしい』って。今までの仕事が認められた証拠だ。おめでとう、美来」
叶多くんの言葉でようやく実感がわいてくる。思わず目に涙を浮かべて「ありがとう」と情けない顔で笑った。
その瞬間、穏やかだった叶多くんの瞳に、微かな熱が宿る。
「……今の表情、すごくかわいかった」
「えっ? ど、どこが?」
どちらかというと不細工だったと思うのに、叶多くんは心から愛おしそうな目をしている。
「努力した人にしかできない、眩しい表情だった。……さすがは俺の美来って、自慢したくなるような」
叶多くんの指先が、僅かに濡れた頬をスッと拭う。それから目を閉じ端整な顔を近づけてきたので、私も胸を高鳴らせて目を閉じる。柔らかな唇がそっと重なった。
「久しぶりに、自慢の妻を抱いてもいいか?」
息のかかる距離で、叶多くんが甘く囁く。
いつもは優しい彼がとことん男性を匂わせるこんな瞬間、私の中の女性も否応なく引き出され、体が熱を帯びていく。