敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「¡Qué bonito!(かっこいい!) 素敵よ、翼」
「ママも~! ほんもののおひめさまみたい! ¡Eres guapa!(きれい!)」
「ありがとう」

 まるでラテンの血が流れているかのごとく、サラッと褒め言葉を口にしてくれる翼にキュンとする。

 座っている私の両手を取ってぴょんぴょんその場で跳ねる翼にニコニコしていたら、遅れて部屋に入ってきた叶多くんも近づいてくる。

「そりゃ、パパの本物のお姫様だからな。……とても綺麗だ、美来」
「叶多くん……ありがとう」

 正統派のブラックタキシードを着こなす彼も、今日は王子様のようだ。

 もう新婚と呼べる時期は過ぎたし三歳の子どもがいる身だけれど、夫の髪型や服装がいつもと違うだけで、新鮮なときめきを感じる。

 叶多くんへの恋は、本当に一生ものだ。

 家族水入らずで写真を撮った後、両家の親族とも顔を合わせた。まだ式の前なのに父も母も涙ぐんでいて、私も胸にこみ上げるものがあった。

 それでも盛大に泣くのは堪え、挙式を行うチャペルへ移動する。

 以前、隆多さんに見せてもらった完成予想図よりも実物はもっと素敵で、色とりどりの花が閉じ込められたガラスのバージンロードを父と歩いた。

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