敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「あははっ。ちーちゃんも、ありがと。ねえパパ、これ、どこの国の旗?」
「うん? あぁ、これはスペインの国旗だな」
黄色と赤のライン、そして国章の描かれた小さな旗は、つい最近インターネットで購入したものだ。
ほかにもいろんな国旗が入っていたのでなにを刺そうか迷ったけれど、やっぱり思い入れのあるスペインを選んだ。
「覚えてる! 結婚式したところだ!」
「正解。パパとママの思い出がたくさん詰まっているところよ」
記憶力のいい翼にぱちぱち拍手をして、夫婦の歴史に思いを馳せる。
高校生の頃に初めて叶多くんと出会い、偶然にマドリードで再会したことで、一度は切れかけた縁がまた繋がって。彼と深く愛し合ったからこそ授かった翼と、三人で一緒に結婚式を挙げたことは、まだ記憶に新しい。
「また行くか。今度は千星も連れて」
「いいわね。ねえ翼、トレドって言うところには武器屋があるのよ。興味ない?」
最近、私の子どもの頃と同じく本を読むことが好きになってきた翼なら乗ってくれると確信しつつ、問いかける。
すると思った通り、翼は目を輝かせて食いついた。