敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「叶多くん、テルエルの恋人たちを読んでいたの?」
「ああ。その話を知らないと言ったら、テルエルの町出身の同僚に怒られたんだ。美来、知ってるなら結末教えてくれよ。仕事関連の本以外は、読んでると眠くなる」
「もう……意外とロマンチックなんだなって感心してたのに台無し」
クスクス笑っていたら、叶多くんが私の手から本を奪って、サイドテーブルに戻す。
そして次の瞬間、優しいキスが触れた。ふざけ合っていたムードから一転、男の人の顔つきに変わった叶多くんは、そのまま私の体をベッドに倒し、キスを繰り返す。
「んっ、あの、本……」
角度を変えて重なる唇に体を熱くしながら、私は口を開く。
「……ん?」
「自分の気持ちを偽っちゃいけないって……好きな人と結婚しなきゃ後悔するって、そういう話なの。悲しい物語だけど、私はすごく好き」
「なんだか、美来の置かれた状況に似ているな」
「うん……でも」
「でも?」
「私は、この恋を悲劇にするつもりなんてないわ」
叶多くんを見つめ、正直な気持ちを告げる。
テルエルの恋人たちはとても儚く美しい物語ではあるけれど、イサベルもディエゴも、本心では生きているときに結ばれたかったはずだと思うから。