敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「おはよう」
「おはよう……」
寝起きでかすれた声に鼓膜をくすぐられると、昨夜のことを思い出して朝から恥ずかしくなる。
「彼から連絡があった?」
私の手にスマホが握られているのを見て、叶多くんが言う。
「うん……午後四時すぎに、バラハス空港へ着くって」
「マドリードにいること、知られていたのか」
「ううん。だけど、私のパソコンを使って調べたみたい。パスワードを教えた覚えはないのに、メールを見たそうよ」
「ひどいな、プライバシーの概念もないのか……?」
私を守ろうとしてくれているかのように、叶多くんの腕に力がこもった。愛されている実感で胸がきゅっと締めつけられて、彼のもとを離れたくない気持ちが募る。
だけど、いつまでも匿ってもらうわけにはいかない。
叶多くんのことが本気で好きだからこそ、父や清十郎さんとは、きちんと話さなければいけないと思う。
「私、一度日本に帰るわね」
「帰る?」
くるりと体を反転させた私は、正面からまっすぐ叶多くんを見る。