敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 叶多くんに愛されたことで、自分に自信がついたのだと思う。

 今の私なら、父や清十郎さんの前で毅然とした態度を取り、叶多くんとの未来を認めさせることができそうな気がする。

「このままスペインにとどまっていたら、逃げているだけだもの。政略結婚をきちんと断って、誰にも後ろ指をさされない状態で、叶多くんと幸せになりたい」
「しかし……俺は来月いっぱいまで大使館勤務だ。美来が助けを求めたいと思っても、すぐに駆けつけてやれない」
「心配しないで。叶多くんと再会する前から、実家ではじゃじゃ馬で通っていたんだもの。もうこの娘は手が付けられないって、父が匙を投げるまで頑張るわ」

 小さなガッツポーズを作って、微笑みかける。叶多くんは切なそうに眉を曇らせ、私を見つめた。

「今この瞬間ほど、自分が外交官であることを恨んだ覚えはない……」
「そんな、恨む必要なんてない。実力で自分の夢を実現させた叶多くんは私の目標だもの。叶多くんはここでやるべきことをきちんとやって、私は日本で父たちを説得する。そして九月になったら、笑顔で会いましょう?」

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