敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
ベッドから出るのもかなり時間を要したし、玄関を出て行く前は、痛いくらいに強く抱きしめ合った。触れ合えば触れ合うだけ別れがつらくなるのに、それでもやっぱり、叶多くんの存在を感じていたかった。
「手放すわけじゃないでしょう? 少しの間、離れるだけよ」
それでも叶多くんの家を出てからは、つらくないふりをしている。
彼だけでなく、自分のことも騙すように。
「わかってる。最後に少し、きみを困らるようなことを言いたくなっただけだ」
「意地悪ね」
「嫌いになった?」
「なるわけないでしょ? ……わかっているくせに」
本音を暴露する声が、途中から震えてしまった。
泣くものかと思っているのに、彼と交わす会話の一つひとつが愛おしくて、目頭や喉の奥が熱い。
叶多くんは何も言わずに私の手に指を絡め、慰めるように優しくさすった。
「もう着く」
「うん……」
涙をこぼさないよう注意しながら、静かに頷く。それでも窓から眺めた空港の建物は、ゆらゆらと揺れていた。