敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「美来」
「は、はい……っ」
急にお呼びがかかったので、緊張しながら清十郎さんと目を合わせる。彼はジロジロと私を観察したかと思うと、唐突に柔和な笑顔になった。
「そうならそうと早く言えばいいものを」
「えっ?」
「よかったじゃないか。今のお前は幸せそうだ」
清十郎さんとは思えない穏やかな発言に、思わずぽかんとしてしまう。惚ける私にクスクス笑った清十郎さんは、叶多くんの方へ向き直る。
「私から彼女のお父様に報告しましょう。美来はスペインで運命の恋人と出会ったらしく、私のことは眼中にないと」
ほ、本当に……?
絶対に嫌みを言われるだろうと思っていたのに、人が変わったように優しい物言いをする清十郎さんに拍子抜けする。しかし、猫をかぶっている可能性もまだ否定できない。
「それはありがたいですが……本心ですか?」
叶多くんも意外な展開に面喰らったのだろう。目を細め、探るように清十郎さんを見つめる。