敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「得意じゃないってことは、経験はあるのよね?」
「いえその……恥ずかしいので勘弁してください」
「ダメ? どんな男性だったかだけ教えてもらえない?」
祈るように両手を握って。泉美さんをジッと見つめる。泉美さんは顔を真っ赤にして視線を泳がせ、ボブヘアの毛先を弄りながら口を開く。
「ハ、ハリネズミみたいな方、ですかね」
「ハリネズミ?」
まさか小動物の名前が飛び出すと思わず、ぽかんとする。本物のハリネズミは確かにつぶらな黒目がかわいらしいけれど、見た目の話ではないだろう。
「自分の身を守るために、わざと棘を纏っているんですけど……その棘のせいで誰も彼に近寄れないから、助けを求めたいときでも、周囲には誰もいない。そんな人なので放っておけない気がして」
「……泉美さん、優しいのね」
ぼんやりとした想像でしかないけれど、針を持った男性のそばにいるのは泉美さんだって痛いだろう。
それなのに放っておけないと思うなんて、優しい女性でなければできない。
「そんなことはありません。結局は彼のもとから逃げ出してしまいましたし」