貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─

16【悪役令嬢】クロエ

私が『実は魔王』のノワールと室内に入ると、ヒロインと攻略対象者達が集まっていた。
でもその様子は私が見た感じ、ヒロインが思い描いていた甘いものではない、みたい。


「これはどういう集まりだ?」

ノワールが教師っぽく言うから、ちょっと笑えた。
自称ヒロインを皆でいたぶる為に集まってるのだと、わかってる癖にね。
私ひとりでも彼等を止められるだろうとは思っていたけれど、念の為ノワールに頼んで付いてきて貰った。

勿論今までのこの部屋の様子はノワールが音声付き画像で見せてくれていて、アンドレがヒロインに手をかけたのを確認したから突入したわけ。
密室の中では誰かのタガが外れると、それに同調する者が出てくる。


特に義弟のジュールは長年暴力に晒されてきたから、割りとそれを普通に思っているところがあって、彼がヒロインに手を出すのを恐れたからだ。
私がここへ来たのはそんな彼等を止める為だからヒロインを助けるのは、二の次だった。

そして私がわざとゆっくり攻略対象者達を見渡せば。
イケメン達も直ぐに目を逸らす。
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