貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
最後にアドリアンが私に振り向いたから、頷いて少しだけ微笑んで見せた。
彼はお飾り王太子妃ルートに進んだ場合の攻略キャラだから、愛想良くしとかないといけない。


「ブラン先生も、ご協力どうもありがとうございました」

私が貴方ももう行っちゃって発言をすると、先生はギロリと睨んでくる。


「俺様を適当にあしらいやがって……」

金色の瞳が妖しく光って、先生が私に手を伸ばしてくる。
魔王の色気が半端なくて、傍らのブリジットが「ひいっ!」と短く声をあげた。
これだから全年齢向けゲームしかしたことがないヤツは。

私の唇に伸ばそうとしていた手を、ノワールは止めた。
私は彼の瞳を見つめながら笑顔になる。


「無詠唱でバリアを張ったか?」

「何の事だか」

「……まあ、いいだろう。
 俺様は気長に口説く質だから、な?」

さすがに1000年魔王なだけあるわ。
そう、気長によろしくね。
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