花に償い

学園に残った百合音を好いていた彼がわたしは好きだった。でも、彼の他にも色んな人が百合音にちやほやし始めて。

何か、可笑しい。

ぴり、と痛むのは指先だけじゃない。

だから、わたし、飯田橋(いいだばし)薫子(かおるこ)は、百合音を陥れようとした。家の使用人である(はじめ)と共犯して。

結局、肇に裏切られて、肇も百合音の使用人になって、そうだ、これ。

前に読んだ恋愛小説……!

それが前世の記憶とかであるのかどうかは兎も角、確か薫子は学園から追放された後、惨い最期を遂げていた気がする。

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