Rhapsody in Love 〜二人の休日〜



「要塞か……こんな所が……」


「近代以前は、物理的にも制度的にも人の移動が今みたいに自由じゃなかったから、生まれた所で生きていくしかない人がほとんどだったんだよね。だから、こんな所でもとても大事な所だったのよ。それでなくても、この辺りは戦国時代は楢崎氏と梶川氏との領国境で攻防が厳しかった所だったし、古庄先生のご先祖様は必死でここを守ってたと思うわ」


「え?ここは古庄先生のご先祖のお城だったんですか?」


遼太郎は今更ながらに驚いたようで、少し離れた所にいた古庄を振り返った。目が合った古庄は、ニコリとまた完璧な微笑を向けてくれる。


「そうそう。中世から続く古庄家は楢崎氏の忠臣の名家だからね。このお城にも古庄先生みたいなイケメンがうじゃうじゃいたってわけよ」


みのりらしい冗談に、遼太郎と古庄が申し合わせたように吹き出した。


雑草や雑木に埋め尽くされた、山の中のちょっとだけ平坦な地。何にもないと思っていた場所も、みのりと一緒にいてみのりのフィルターを通して見ると、生き生きと人の営みが感じられる場所になる。

発掘前の今でなければ、その対比は分からない。古庄は改めて、今ここに来ておかなければならなかった意味が分かった。


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