眠り姫と生贄と命の天秤
「ありがとう」

 キトエは魔法が使えないから、毎回お礼を言われる。けれどリコにとっては忌まわしい力が役に立っているのなら嬉しいのだ。

 キトエは荷物を置いて、髪を覆っていた青い布を外した。薄水色の髪が炎の明るさに浮かぶ。そうして服の下から首にかけていた細い革紐を引き出した。革紐の結び目を解いて、輪に通っていたピアスを外して、両耳につけた。金色の翼に、キトエの髪と同じ水色の宝石が下がっているものだ。リコが前にプレゼントした。旅芸人の護衛という設定では高価に見えすぎるため、人目につくところでは外しているのだという。

『毎日つけたり外したりするの大変じゃない?』

『つけないと穴が閉じるし、リコにもらったものだから本当はずっとつけてたい』

 以前尋ねたときに不服そうな顔をされて、リコのほうが恥ずかしくなってどぎまぎしてしまった。

 炎に合わせて、キトエの髪とピアスの宝石が光を揺らめかせる。キトエの瞳も見とれてしまうが、髪もつい見つめてしまうくらい好きだった。

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