眠り姫と生贄と命の天秤

*もっと触りたい

「あのときしたかったこと、今するから」

 首の横に触れていたキトエの指が、うなじへ滑る。あいた首に唇をつけられて、吸い取られて、かまれた。かまれているところから、半身に熱と痺れが広がっていく。吸血鬼にかまれるとこんな気分なのだろうか、とまともに考えられなくなっている頭で、思った。

 背を抱いていた手が脇を通ってきて、服の上から胸を包む。身構えてしまう。ゆるゆる撫でられて、胸の先を引っかかれた。

 声をかんだ。けれど容赦なく触られて、体が跳ねてしまう。口が離れて冷たく感じた首を舐められて、かみ殺しきれなかった声がもれてしまった。

「可愛い。リコ。もっと触りたいし、もっと声、聴きたい」

 キトエの声が全部、熱になる。恥ずかしい。思考がゆだる。

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