眠り姫と生贄と命の天秤
 服の、肩で結ばれている幅広の紐をほどかれる。中に着ていた透ける薄布の上衣をまくり上げられて、胸に触られた。声をかんだのと同時に、唇で口を塞がれる。抑えきれなかった声が、キトエに貪られる。浄化の魔法を口にしたいのに、勝手に出てしまう声で途切れて唱えられない。力の入らない指先で、キトエの肩を押す。

「キ、トエ、こんな、されたら、シムリルカ(浄化)、言えな、い」

 少しでもよくなる可能性があるなら、かけておきたかった。

 キトエはおかしそうに、意地の悪い笑みを浮かべる。

「可愛い。ここ、好き?」

 胸の先を思いきりつままれて、声をあげてしまった。一度あふれると、恥ずかしいのに、止まらない。

「や、そんな、冗談言ってる場合、じゃ、ばかっ……」

「前は、それどころじゃなかったから。今は俺がいなくなったとしても、リコは絶対に死なないって、分かってるから」

「だから、そんなこと言わないで。一緒じゃなきゃ意味がないの。もう絶対離さないって、言ったくせに」

 泣きそうになってしまった声に、キトエは痛そうに、笑う。

「俺も、一緒にいたいよ」

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