Will you marry me?  〜エリート建築士は策士な旦那様でした〜

「初めて会った日、もっと冷たい人だと思っていました」

「もしかして、そっちの俺がいい? あれは仕事用なんだけどな。菜々が望むならそっちでもいいけど。

その瞬間、一気に雰囲気が変わって妖艶ささえ感じる大人の男性になる。

髪をかき上げ、私を見つめる。そんな彼にドキドキしてしまい、ふるふると首を振って見せる。

「親しみやすい謙太郎さんがいいです」

声が大きくなってしまい、慌てて口元を押さえる私に、ふわっと彼の表情が緩んだ。

「買い物に行こうか。菜々に必要なものを」

「仕事は大丈夫ですか?」

「ああ」

柔らかな笑みで彼は微笑むと、私をマジマジとみる。

「俺が抱きしめてたから、着物が着崩れたな……」

そのなんともいえない言葉選びに、私は慌てて襟を正す。

「寝てしまったからです。すぐに直せるので」

なぜかそんな私を見て、楽しそうに笑う彼。
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