そこまで人気とは知らなかったけど、友人の言うとおりだとすると、これはかなりラッキーだ。



そんなに話題のレストランなら、さぞかしおいしい料理が期待できる。



だけど、そんなワクワクと同時に、ひとつの不安が頭をかすめた。



彼。



そう、彼は、遅刻グセがあるのだ。



結婚式の日でさえ、渋滞という事情があったにせよ30分も遅刻したくらいだ。



果たして、彼は来るだろうか。



予約時間を20分過ぎたらキャンセル扱い、と言われているけれど、それは彼にもしっかり念押しした。



現在18時50分。



予約は19時。



私は、絶対に遅刻しないように定時ちょうどに退社して、今、レストランの前にいる。



目の前は大きな通りになっていて、雨に車や街の光が反射して、とてもキレイだ。



果たして、彼は間に合うのだろうか。



こんなことでドキドキして、それがおかしくて半笑いになっている私を、きっと通行人はヘンに思うに違いない。





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