それから待つこと20分。



時刻は19時10分になった。



やっぱり彼は来ない。



メールをしてみたけれど、返信もない。



彼は電車通勤だから、結婚式の日のように道が渋滞しているわけでもないだろう。



もう、いつもハラハラするのは私のほうなんだから!



ザーザー降り続く雨の音を聞きながら、不安が的中しちゃった、とため息をついた。



どうしよう、あと10分でキャンセルになってしまう。



雨でジメジメしているし、外で待つのも疲れるから、先に入ってしまおうか。



そうすれば、キャンセルにもならないし…。



…そうだ、そうしよう!



もっと早く気がつけば良かったのに、私ったらこんな雨の中、遅刻魔を待ち続けるなんて。



そんな私の携帯が鳴ったのは…―



私が、いそいそと店の扉を開けて中に入ろうとした、まさにそのときだった。





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