8歳の彼の記憶に、私の居場所などあるわけがない。



そう、わかっていた。



でも年を取ったお義母さんのことがわかるのだから、もしかしたら、と思った。



万が一の可能性に、賭けてみたかった。



でも、ダメだった。



「だれ?」なんて。



冗談でも、絶対に言われたくない。



だいたい、急に『8歳です』なんて言われても、受け入れられるわけがなく。



頭の中がモヤモヤしてきて、知らない人を見るように私を見る彼に何も言い返せず、私は、ただ立ち尽くしていた。



その後のことは、よく覚えていない。



黙って後ろで成り行きを見守っていた母の、私の肩にそっと乗せられた手の感触だけが、残っていた。









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