次に私が我を取り戻したのは、午後遅くになってからだった。



ふいに名前を呼ばれたのだ。



気がつくと、私はいつの間にかロビーにあるソファに座っていた。



隣には、母がいる。



そして視線をあげると、目の前に昨日の安西という警察官が立っていた。



今日は雨合羽ではなく、コートを着ている。



きっとコートの下は制服なのだろう、とぼんやりと思った。



私の名前を呼んだのは、この人だったのだ。



「昨日は、どうもおつかれさまでした」



と、安西さんが言った。



「あ、いえ、安西さんこそ…」



そして、事故の状況説明をしたいという安西さんに母を紹介して、母にも一緒に話を聞いてもらうことにした。





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