いつもの声が、私を「ミオちゃん」と呼ぶ。



「ミオ」が「ミオちゃん」。



たったそれだけのことが、こんなにも違和感を生むとは。



そもそも私は、「ちゃん」付けで呼ばれるのが苦手だ。



だから、初対面の人にも、友達になれそうな人には、「ミオって呼んでください」とお願いしている。



彼と知り合ったときだって、もちろんそうした。



なのに、そんなことは覚えてもいないリュウくんは、何の悪意もなく「ミオちゃん」と呼ぶ。



大好きな、彼の声を使って。



私はそれに慣れなくてはいけないのだけれど、気持ちがついていけない。





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