「ごめんねミオちゃん、あなたの気持ち、全然考えてなかったわね」



廊下でのお義母さんの第一声に、びっくりした。



あわてて手を振って、



「ごめんねなんて、お義母さん、謝るのは私のほうで…」



と言うと、お義母さんは、強く首を横に振った。



「違うの、私が悪かったわ。軽々しく退院なんて言って」



お義母さんの目は潤んでいた。



「まだリュウヘイはミオちゃんのことを思い出せないのに、そんなこと言うべきじゃなかった。明日、先生にもう一度お話してみましょうね」



「お義母さん…」



「こういうときはね、誰も遠慮しちゃダメなの。私の気持ちも大事、ミオちゃんの気持ちも大事。みんなで一緒に悩んで、どうするか決めていきましょう」



「…ありがとうございます」



私はこみ上げる感情を抑えるのに必死で、何も言えなくなってしまって、



「さ、戻ろうか。もうすぐリュウヘイの会社の人も来てくれるのよね」



と、明るく振舞うお義母さんに、黙ってついていくことしかできなかった。









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