あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

頬をつねっている優星。
夢じゃないのに…本当に……。
『痛い……』
『全く君は…見ていて飽きないな』
私はふふっと笑った。
ねぇ、優星。
『褒めて貰えて光栄です』
私ね、きっと君に誘われるの待っていたんだと思う。
だからその日だけは空けといた。
もし誘われなかったらそのままでもよかった。
君と過ごせるなら……。
優星、君と…笑って一緒に過ごしていられるだけで私は十分幸せだよ。
だから最後だけは──。

そして迎えた私の誕生日。
「痣目立つかな？大丈夫かな？」
昨日の夜、お母様の機嫌が悪かった。
男に振られ、お父様はそれを見ても何も言わずで…お母様は私にまた暴力を振るう。
『あんたなんか産まなければよかった』
そう言いながら……。
今日の朝もブツブツと何か言っていた。
私は外を見る。
「…雨……か」
今日の天気は雨だった。
あの日…君に出会った時みたい……。
あの日もこんなふうに雨がたくさん降ってたな。
まるで…。
「導いてくれてる…のかな？」
私がこれからの道を。
私はいつもより早めに家を出た。