あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
「え、帰る時間…ですか?」
僕がそう聞き返すとあやの先輩はニコッと笑いながら頷く。
「うん、そう。お話してみたいし一度会ってみたいの!」
僕の父さんに会ってみたいって…どうして?
うーん、あやの先輩の考えてる事はよくわからないな。
「18時過ぎくらいだと思います。早ければ16時くらいかと」
「わかった」
「……」
聞いてみてもいいのかな?
父さんに会って何を話すのか…。
僕はギュッと自分の手を握りしめる。
「あの!あやの先輩…」
少し声が大きくなってしまったがあやの先輩はいつも通りニコニコと笑っていた。
「ん?どうしたの?」
「あの…」
僕は声をかけたはいいがなんて聞いていいのかわからなかった。
直球で聞いた方がいいのか?
それともやんわりと聞いた方がいいのか?
僕が悩み続けているとあやの先輩が先に言った。
「君のお父さんに会っていつもお世話になってますって伝えるんだよ。それから…お仕事のこともね」
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