あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
「そうですね。この辺りはほとんど行きましたね」
半年も経てば、駅周辺のお店だけでなく少し離れたところまで制覇できてしまった。
だから今は駅から離れていて、バスを使ってお店を巡っているのだ。
「じゃあ今日はここのお店にしよ!」
そう言って僕が持っていた食べ物ガイドのページを指差して一人でスタスタと歩いていってしまう幸希先輩に僕は走って追いかける。
これがだいたいいつものことだ。
でもどこを指したのか今日はわからなかったな。
最近は当たり前のようにバスを使うから運転手さんとは顔見知りの人も何人かいる。
そしてたまにおすすめのお店を紹介してくれる人もいるからそこに向かうことも数回あった。
今日はとてもバスが混雑しているため何もなかったけど…。

「美味しかったね!」
「はい!」
食べるのも時間が過ぎるのもあっという間だった。
いつも幸希先輩と別れるのが名残惜しい。
また明日会えるとわかったいても離れたくない。
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