全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「おや。エヴェリーナ嬢じゃないか。兄上に婚約破棄されてさぞ気落ちしているだろうと思ったら……もう新しい男を見つけたのか?」

 いい気分で食事をしていたというのに、突然頭上から不快な声が降ってきた。見上げると、そこには従者を二人引きつれた第二王子ミリウスの姿があった。

「ミリウス様……。いらっしゃってたんですね。何かご用でしょうか?」

顔が引きつらないように気をつけながら尋ねる。私はこいつがとても苦手だ。苦手というか、はっきり言って嫌いだ。

 なんせ一度目の人生で私が牢に入れられたとき、懲役刑や国外追放ではなく死刑にするべきだと強く主張したのがこのミリウス王子なのだ。

 ジャレッド王子と同じく聖女カミリアに好意を寄せているミリウスは、彼女に危害を加えようとした私が許せなかったらしい。

 処刑が決まって数日経った頃、ご丁寧に牢屋の前までやってきて、カミリアをいじめて暗殺未遂まで企てた私がいかに醜いか、生きている価値のない存在なのか説いてくれたこともある。

 思い出しただけでむかむかしてくるが、第二王子に不敬な態度を取るわけにはいかない。

 私は向かいの席でミリウスを睨みつけているサイラスにふるふると首を振り、笑顔でミリウスの言葉を待った。
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