悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
ロベールはケント公爵家の次男である。
ケント公爵家は王都に隣接する領地を持ち、ケント公爵は財務大臣の任も勤める有力な家であった。
ただしロベールは次男である。公爵位や領地は長男が嗣ぐことになっている。他にケント家が所有する爵位もあるが、結局は自立するしかない。
小さな頃からそのことを自覚していたロベールは騎士学校に入り、騎士を目指した。同じ時期に第一王子のテオドロスも騎士学校に所属していて、2人は良きライバルとなった。
卒業後、ロベールは近衛隊に配属され、同じく卒業後王太子となったテオドロスの護衛を任じられた。

そして現在、マリアの婚約者候補としてグロリス伯爵家を訪問しているわけであるが、それを命じた人物のことを思うと、若干心が痛い。
娘婿を切望している伯爵と放心状態のマリアを前に、ロベールは内心冷や汗をかいていた。
< 22 / 62 >

この作品をシェア

pagetop